どうも、おときちです!
皆さんはInstacartという会社をご存知でしょうか。
残念ながらまだ日本には上陸していないのですが、
元アマゾン社員のApoorva Mehta氏によって
設立された会社で、まさに「食料品専門のアマゾン」と言える会社です。
本日はこちらについて解説していきます。
Instacartとは?
Aproova氏はインド系で、
アマゾンのサプライチェーンエンジニアとして働きながら、
倉庫から顧客の家までどうやったら安全に
商品を運べるかノウハウを学び、2012年にInstacartを起業しました。
前述の通りサービス内容は食料品専門のアマゾンです。
私はアマゾンとUber Eatsのミックスのようなサービスだと捉えています。
というのも、配達は「パーソナルショッパー」と
呼ばれる個人に配達員によって行われるためです。
彼らは商品のピッキング、梱包、配送までを行います。
配達には、Uber Eatsのようにサービス料がかかりますが、
アマゾンでは通常注文することが難しい
生鮮食品が簡単にかつ安全に自宅まで届けられます。
配送料は購入金額によって異なりますが、
Expressサービスという月額または年額会員になることによって配送料を免除することもできます。
特徴的なのは、販売者も配達者もInstacart自身ではなく、
町の八百屋さんやドライバーであるという点です。
また、アメリカらしく「ショッパー」に
顧客からチップを払う文化があるもの日本とは全然違いますね。
Instacartはあくまで場所やシステムを提供しているのです。
顧客はアプリやウェブサイトを使用して
地元の食料品店で買い物をすることができ、
サイト上のショッピングカートに商品を入れます。
すると後日指定された日に、
「パーソナルショッパー」によって自宅まで配達されます。
Instacartが食料品自体を販売しているわけではないので、
お客さんが購入したものが在庫切れや利用できない場合は、
ショッパーがアプリ経由で通知し、代替品を提案してくれるのです。
提携しているお店は配達先地域によって異なります。
住んでいる地域でどの食料品店が対応しているかを確認したい場合は、
郵便番号で検索することもできます。
地元の食料品店(酒屋や肉屋など)は、
Instacartのショッパーが商品をピックアップし配達できるように、
アプリ上で常に在庫情報を情報提供しています。
アメリカとカナダだけで約5,500の都市で対応しているというから驚きです。
いわば地元密着型アマゾンというイメージでしょうか。
さらにInstacartがユニークなのは、コストコ、
BJ'sホールセール、サムズクラブなどの会員制スーパーとも提携しており、
Instacartの会員であれば店舗の会員権を
購入することなくこれらのお店で買い物をすることができます。
コストコなどは年間5000円程度の会費がかかるので、
それだけでもかなりお得と言えると思います。
メリットとデメリットをまとめると以下の通りです。
Instacartのメリット
・このご時世で外に出られない時の買い物に便利
・ネット上での品揃えが、ほとんどリアルタイムで店頭のものと同期されている
・スーパー以外の店舗へも発注可能
・会員でなくてもコストコなど会員制スーパーにアクセスできる
・心配事がある場合や代替品が必要な場合は、ショッパーと直接コミュニケーションを取ることができる
Instacartのデメリット
・特に野菜など、直接商品を選ぶことはできない
・ネットの価格は実際の店頭価格とは異なるため、割高になる可能性がある
・店頭販売で使えるポイントカード、特典が利用できない
私はかなり使い勝手の良いサービスだと思いますので、
日本に上陸した際は是非利用してみたいと思います。
さて、ここまではInstacartのサービスについてお話ししてきました。
ここからはIPOの状況と、
投資先としてどうかという点をお話ししていきましょう。
Instacartを投資先に選ぶには?
同社は、既にTiger Global Management、Coatue Management、
G Squared、Dragoneer Investment Groupなどの
ベンチャーキャピタルから22億ドル近くを調達しています。
プレスリリースによると、Instacartが最後に資金調達を行なったのは
2020年6月で、2億2500万ドルの資金を調達し、
昨年夏時点での資金調達後の評価額は137億ドルとなっていました。
Instacartはその新規株式公開(IPO)をリードするために
ゴールドマン・サックス・グループを相方に指名しました。
先日、その後同社が2億ドルの非公開資金調達ラウンドで
調達した際には評価額は177億ドルで再評価されました。
これは世界のユニコーン企業の中でもTop10に入る規模です。
なぜこれほど急激に拡大しているかというと、
2020年には注文量が500%に増加したためです。
この背景には、より多くの消費者がコロナ感染拡大の間に
食料品を調達するため、同社のサービスを利用する機会が増えたことがあります。
また、政治的な動きも後押ししています。
先週、カリフォルニア州の有権者が、
アプリ上で働く個人配達ドライバーを「個人の請負業者」として扱う
投票案を支持したことを受けて、
InstacartはIPO計画をさらに加速させています。
この動きは、従業員としてではなく個人として働く
ドライバーに依存しているInstacartやUberのような企業にとっては追い風となりました。
同社が注目されている要因はもう1つあると思っています。
それは、バイデン大統領の就任以降、
「ダイバーシティ&インクルージョン」に力を入れている企業の評価が上昇していることです。
「ダイバーシティ&インクルージョン」というのは、
障がいの有無、国籍、生まれた環境、肌の色、性的指向、
これまでの人生のバックグラウンドなどに関係なく、
お互いが違いを認め合い、色んな人がそれぞれ自分らしく
より良い社会を作っていきましょうという活動です。
InstacartにはRainbowcarrotというLGBTQ+の社員グループがあり、
様々な活動を展開しています。
例えば、昨年11月のトランスジェンダー意識向上週間には、
トランスジェンダーに対する認知度と理解を深めるため、講演を開催しました。
講師は、LGBTQ+の若者に危機介入と
自殺予防サービスを提供する大手組織である、
The Trevor Projectのサム・ブリントン氏でした。
この講演では、知識を持って会話に臨むために、
トランスジェンダーのコミュニティや歴史について学ぶことの重要さ、
職場での代名詞(he, sheなど)を最適化することなどを
全社員へのメッセージとして伝えたといいます。
コミュニティをさらにサポートするため、
Rainbow Carrotsは意識向上週間の期間中、
Zoomコールやビデオチャットに参加する際、
トランスジェンダーの旗の色(パステルピンク、水色、白)を揺らすようにメンバーに呼びかけました。
またSlackチャンネルに特集シリーズを作り、コミュニティの
トランスジェンダーの人々とその貢献にスポットを当てた記事を投稿しました。
週の最後には、従業員達を招待して、トランスジェンダー意識啓発デーとして
Netflixのドキュメンタリー映画『Disclosure』についての
公開討論会に参加してもらったりもしたそうです。
まとめ
このような活動は日本ではあまり一般的にはなっていませんが、
アメリカでは特にこういった「多様性理解」への活動が
企業の価値として評価されることが多く、
株価に反映されることも少なくはありません。
2021年に正式にIPOが行われるかは明確にはなっていませんが、
注目しておきたい企業の1つです。