どうも、おときちです!
ニューヨークに行かれたことがある方は、
もしかしたらこのお店を訪れたことがあるかもしれません。
パストラミサンドという、牛肉の燻製サンドが人気のお店、
「カッツ・デリカテッセン」です。
今回は、1918年のインフルエンザパンデミックを生き残ったこのお店が、
今回のコロナ騒動をどのように乗り切っているのか、見ていきましょう。
5代目オーナー ジェイク・デル氏
ニューヨーク市のローワーイーストサイドにあるカッツ・デリカテッセンは
1918年のインフルエンザの大流行の時には既にそこに存在していました。
5代目のオーナーであるジェイク・デル氏はCNBCのインタビューに、
カッツには、前回のパンデミックの生き残りのお店として、
コロナ時代を耐え抜く義務があると感じていると語っています。
ニューヨーク市のこのお店は100年以上の歴史を持ち、
ローワーイーストサイドの象徴的な場所に成長しています。
現オーナーのジェイク・デル氏は、
コロナウイルスのパンデミックによって
引き起こされた混乱の時代を乗り切ろうとする中で、
カッツファミリーの歴史の重みを感じていると語りました。
今回のコロナ危機はカッツファミリーにとっては2回目のパンデミックですが、
もちろんデル氏にとっては初めてのパンデミックです。
デル氏は「Squawk on the Street」という
トークショーの中で1918年のインフルエンザの大流行についても語っています。
1888年に設立されたカッツ・デリカテッセンは、
そのパンデミックがが始まる1年前に現在の場所(ヒューストン通り)に移転しました。
その時の教訓を生かし、
外食産業を荒廃させている今回のパンデミックに対抗するために、
デルは、彼は "Make it up as you go "アプローチを使用していると述べています。
”Make it up as you go” というのは英語のイディオムで、
「自らのスタイルでやってみる」というようなニュアンスです。
正式なガイダンスなしにその場で臨機応変に、という意味を含みます。
5代目のオーナーであるデル氏は、
「カッツの核心である懐かしさと伝統を壊すことなく、
その場でできる最善の決断をしていくだけだ」と語っています。
パンデミックはまだ終わっていませんが、
過去11ヶ月間にカッツが学んだ教訓は、ウェブサイトの開発など、
今後数十年にわたって成長するための助けになるだろうとデル氏は述べています。
このコメントは、
Andrew Cuomo市長がニューヨーク市内の
レストランにおける店内での飲食無期限停止をアナウンスした直後に出ました。
このパンデミックの状況下においても常に学ぶ姿勢とポジティブな考え方を忘れていないのがわかります。
コロナ後の飲食業界の困難
現在はまた制限されたり解除されたり右往左往していますが、
昨年末には一度条件付き(席数25%まで)で店内飲食が再開されました。
この緩和によって、
市が屋内での食事を許可していた秋ごろ使用されていたルールに戻ります、
と彼は言います。
一部の健康専門家は、より感染力が高いと考えられている
新しいコロナウイルスの亜種が入ってきていることを考慮して、
タイミングが早かったと指摘しています。
しかし、カッツのような都市部の多くの飲食店にとっては、
店内飲食の再開は、苦しい冬を乗り切るためにはどうしても必要な手段です。
カッツが25%の席数制限を遵守するためには、
店内で利用できるテーブルは最大で18テーブルしかありません。
しかし、カッツは店内飲食用のスペースが広い方で、
25%の席数制限をより実現可能なものにすることができるという点で、
ある意味他の小規模なお店より幸運だとデル氏は語っています。
ビジネスの観点からは、
テーブルの4分の1しか使えない状態では、ほとんどの飲食店がうまくやっていくのは難しい、
とデル氏は考えています。
つまり、店内飲食以外の軸を構築する必要があるということです。
コロナ後にカッツが特に力を入れたことの一つは、
ウェブサイトの強化と、顧客の体験を別の顧客へお届けすることでした。
つまり本当の「カッツでの体験」をいかにお客様に届けるかということに焦点を当てたのです。
ローワーイーストサイドに来られないお客様に、どうやって「カッツ」をお届けするか試行錯誤しました。
デリバリービジネスの拡大化
幸いなことに、カッツにはアメリカ全土に食品を出荷してきた経験が豊富にありました。
その歴史は第二次世界大戦までさかのぼります。
昨年の春にパンデミックが発生してニューヨークの観光業が停止し、
屋内レストランが閉鎖されたため、
その時の経験を生かさざるを得ない状況になりました。
つまり、店内飲食ができない代わりに、
デリバリービジネスの規模拡大が必須となりました。
そのために、まずは皿洗いなどをしていたスタッフを再教育し、
マスタードやピクルス、簡易ナイフなどと一緒に適切に梱包して
全国に出荷できる体制を整えなければなりませんでした。
そして今では、この事業は非常に大きく成長しており、
すべてが正常に戻っても、この好調が続くことをスタッフ一同願っています。
デル氏によると、
カッツは数年前に独自のデリバリーネットワークを構築し、
DoorDashやUber Eatsなどの第三者プロバイダーに
「法外な」料金を支払わなくても済むようにしたといいます。
数年前に巨大な宅配工場を建設し、それが功を奏したのです。
そのおかげでこのパンデミックの間、誰も解雇することなくここまで来られています。
非営利ジャーナリズムサイトProPublicaがまとめたデータベースによると、
カッツは給与保護プログラムを通じて100万ドルから200万ドル相当の融資を受けたそうです。
この支援は143人の雇用を維持するのに役立ったといいます。
パンデミックが深刻化する時期にも、
カッツをオープンし続けるために多方面と戦った理由を聞かれたデルは、
「そうしなければならないからです。
頭を下げて(戦争映画のように)前に進むのです。一度に一つずつ、決断を下すのです」
と答えています。
「パンデミックが始まった時、
私達はすぐに近所の低所得者と高齢者の建物にスープを配り始めました。
私たちは、5つの地区すべてで、30以上の病院に30,000食以上の食事を提供してきたと思います」
とデル氏は付け加え、カッツは家族経営のビジネスとして支援する義務を感じていると述べた。
「地域社会が我々の面倒を見てくれます。
彼らが助けを必要としている時には、我々は彼らの世話をしなければなりません。
そうすることで、お店が困った時には地域社会が助けてくれるのです。」
まとめ
カッツデリは株式市場には上場していませんが、
2019年にはカナダへのデリバリーも開始するなど、その進化は止まりません。
今後上場する可能性もなくはないと思いますし、
他の飲食店にとってのビジネスの先輩として、
今後も中小規模の飲食業界を牽引するお店であることは間違いありません。
現在は軒並み低評価が続いている飲食業界の株式ですが、
そんな状況下でも、B&G社(BGS)のように回復の兆しを見せている銘柄も出てき始めています。
B&G社は外食産業ではなく食品製造の会社ですが、
コロナショック後には外食産業の後退に伴い株価が暴落しました。
外食産業も旅行業界と同じくコロナ収束後には回復が見込まれる業界ですので、
引き続き注目していきたいと思います。